家庭裁判所と探偵の役割
夫婦、親子、親族、相続等、探偵事務所の仕事と密接に関連する家庭内の紛争について、家庭裁判所では、その解決を求めて申し立てられた事件を取り扱っています。
家庭裁判所では非行をした少年の審判も行っていますが、ここでは探偵が行う調査と、より関係が深い「夫婦関係や親子関係の紛争など」の家事事件(調停と審判)について説明していきます。
家庭裁判所では「家事手続案内」を行っています。そこでは家庭内や親族間における問題を解決するために家庭裁判所の手続を利用できるかどうか、また、申立てにあたって必要な費用や添付書類などについて説明しています。
※なお、 「家事手続案内」では法律相談や身上相談はやっていません。
<審判のみで行われるもの>
子の氏の変更許可、相続放棄、名の変更の許可、後見人の選任、養子縁組の許可などは、公益に関するため家庭裁判所が国家の後見的な立場から関与するものであるとともに、一般に当事者が対立して争う性質の事件ではないことから審判のみによって扱われます。
<調停と審判の両方で行われるもの>
親権者の変更、養育料の請求、婚姻費用の分担、遺産分割などは、通常最初に調停として申し立てをし話合いがつかずに調停が成立しなかった場合には、審判手続に移り結論が示されます。また、当事者が審判を申し立てても、裁判官がまず話合いによって解決を図る方がよいと判断した場合には、調停による解決を試みることもできることになっています。
離婚や認知など「夫婦や親子等の関係についての争い」を解決する訴訟を「人事訴訟」と言います。
夫婦や親子等の関係についての争いは、基本的に話合いにより解決するのが適当であると思われますので、まず家事調停を申立て、調停で解決ができない場合に、訴訟を起こすことになります。
人事訴訟のうち、代表的なものが「離婚訴訟」です。離婚訴訟では、未成年の子どもがいる場合に離婚後の親権者を定めるほか、財産分与や子どもの養育費などについても離婚と同時に決めてほしいと申し立てることができます。また、離婚訴訟とともに、離婚に伴う慰謝料を求める訴訟を起こすこともできます。
原則として、当事者(離婚であれば夫又は妻)の住所地を受け持つ家庭裁判所が管轄します。ただしその家庭裁判所と人事訴訟を起こす前に家事調停を取り扱った家庭裁判所とが違う場合は調停を取り扱った家庭裁判所で人事訴訟を取り扱うこともあります。
※極めて稀ですが、調停離婚が成立しなかった場合に、家庭裁判所が調停に代わる審判をくだし離婚を成立させる場合があります。
但し、審判がくだされてから2週間以内に当事者が異議を申し立てれば審判の効力がなくなります。